「心への処方箋」をつくってみたい。ふとそう思ってから数年が経った。
きっかけが何だったのかも覚えていない。
体調を崩しがち、薬に頼りがち
私はよく体調を崩しがちだ。特に環境の変化に弱く、頻繁に病院やドラッグストアで薬を買って飲んでいる。
その原因の大半を占めるのは心の問題だろうと思う。高校生の頃は負けん気が強く、自分は何でもできると思っていた。しかし年を取りいろんな人と出会う中で、「自分は何においても一番になれない」「自分よりあの人の方が情熱も知識も上だ」と思ってしまい、自分に自信を無くしていく日々。何をするにしても不安で自分を信じることや認めてあげることが難しくなってきた。
そんな状況の中、新卒として働く中で適応障害に。幸か不幸か、適応障害をきっかけにもう一度自分自身や人生について考えたいと思い、休職期間中は興味のある本は出来るだけ読むようにした。
自己を啓発しない
本を選ぶ中で心がけていたことは「自己啓発本は絶対に読まない」こと。世の中には自分を変えるための自己啓発本やハウツー本であふれかえっている。心が疲弊しているときにそれらを読めばますます自分を追い込んでしまうだろうと思った。
「○○力」「○○術」など、まるで「これが答えです」と言われているような気がする。小手先の方法で解決する問題なのか?そんなに簡単に答えに飛びついていいのか?「そもそも論」を考える必要があるのではないか?自己啓発本やハウツー本には、すぐに答えや方法、結果を求めることにモヤモヤしていた。本当にそれで良いのだろうか?
自分データを集めたい
自分が大切にしているものは何なのか、何を大切に生きてきたいのか、改めてもう一度考えてみたいと思い、ノートに考えを記すのに加えて本を読んでみた。
ミステリーやSF小説などではなく、おだやかに物語が進んでいくような本を選んだ。また、自分の悩みやモヤモヤがテーマになっている本も読んでみた。ゆっくりと時間をかけて文字を追っていく中で、自分が大切にしたいと思っていたけれど忘れてしまっていたことやハッと気づかされることが多々あった。
本を読んでいく中で、「こんな自分でもいいんだ」「自分ならこうしてみたいな」と少しずつ自分を受け入れたり改善したりと、自分の心がおだやかになっていく感覚をおぼえた。また、読んだあと考える時間をつくることで自分が大切にしたいもの、苦手なものなど「自分データ」も少しずつ集められる、そうした感覚を得る中で、「心への処方箋」というワードを再び思い出した。
理系的な薬と文系的な「薬」
現在、身体的な病から精神的な病まであらゆる症状に薬が処方される。科学的(理系)な薬があるのならば、本を用いた(文系的な)「薬」もあってもいいのではないか。「病は気から」と言われるように、悩みや不安などにより心身ともに具合が悪くなることだってある。心の不調に対し、科学的な薬で治すのもいいかもしれないが、じっくりゆっくりと自分と悩み・不安に向き合い自分なりの答えを出すことで回復をめざす方法もあっていいのではないかと考えたのだ。
心の処方箋を、生きるための本棚をつくりたい
心の病気になったこと、本を読み考え、自分データを集めることを通して「心の処方箋」をつくりたいと思うようになった。正解はない。自分の性格や価値観、置かれた環境も様々だ。そんな状況でも一人一人が自分と、自分の悩みや不安と向き合い、納得して人生を選択してほしい。そのためのひとつの材料としてこれまで私が読んできた本をあつめた「生きるための本棚」をつくっていく。
多読することが目的ではないので、すぐにたくさんの本を紹介できるわけではない。けれど、この本棚に出逢ってくれた誰かが自分のペースで健康で幸せに生きれるよう、心を込めて育てていきたい。
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