新卒で休職や退職を検討している。あるいは休職・退職をしたけれど経済的な不安がある。このようなお悩みをお持ちではありませんか?
実は、勤続期間が短い新卒でも利用できる制度があるんです!
結論から言うと、新卒1年未満でも利用できる制度は「傷病手当金」です。実際私は入社3か月後に適応障害となり、3か月間休職しその際傷病手当制度を利用しました。
今回は、実際に制度を利用した私が、休職・退職時に利用できる制度について、主に新卒1年未満の場合にフォーカスしてご紹介していきます。
本記事を読むことで、休職・退職に際してどのような制度が存在するのか、実際に何が利用できるのかを知ることが出来ます。
社会保険について
そもそも社会保険とはどのようなものかご存じでしょうか。
厚生労働省のホームページによると、社会保険とは以下のように説明されています。
国民が病気、けが、出産、死亡、老齢、障害、失業など生活の困難をもたらすいろいろな事故(保険事故)に遭遇した場合に一定の給付を行い、その生活の安定を図ることを目的とした強制加入の保険。
参照:厚生労働大臣HP
そして、この社会保険には以下の4つが含まれています。
- 医療保険
- 介護保険
- 年金保険
- 労災保険
- 雇用保険
この中で、休職・退職時に基本的に抑えておくべき保険は、「医療保険」「労災保険」「雇用保険」の3つです。以下で、さらに詳しく説明していきます。
医療保険
医療保険とは、病気やけがをした際の保険のことで「健康保険」、「国民健康保険(国保)」、「後期高齢者医療医療制度」の3つに分かれています。この中で会社勤めの方が該当するものは「健康保険」。
健康保険は、被保険者(会社員)とその扶養者(会社員の家族)に対して、労災保険の給付対象とはならない病気やけが、死亡、出産について保険給付を行う制度を指します[滝澤2024:32-33]。
健康保険の給付内容として、療養の給付や高額医療費、出産育児一時金などがありますが、中でも休職・退職時に関係するものが「傷病手当金」です。詳細については後述しますが、特に新卒1年未満の方でも受け取れる可能性のある給付となっています。
労災保険
労災保険とは、業務上や通勤途上における労働者の病気、けが、障害、死亡等に対して給付が行われる制度のことです。これは、正社員だけでなくアルバイトやパートなども対象者に含みます[滝澤2024:43-44]。
本記事はあくまで休職・退職時を想定しているため、ここでは詳細な説明は省略させていただきます。
雇用保険
雇用保険とは、労働者が失業した場合などに必要な給付を行ったり再就職を支援する制度のこと。ここには、一般的に失業保険と呼ばれる基本手当(求職者給付)や就職促進給付、雇用継続給付などが含まれます。
この制度を利用するためには「離職前の2年間に被保険者期間が通算12か月以上あること※」が必要です。
※倒産、解雇等の場合には、離職前の1年間に被保険者期間が通算6か月以上あれば受給可
そのため、仮に新卒1年未満で退職した場合雇用保険の給付の対象外となってしまうため、利用ができないという事になります。
傷病手当金について
上記で説明したように、健康保険に加入していれば休職・退職時に様々な給付制度を利用できることが分かります。ですが、新卒1年未満と勤続年数が短い場合、利用できる制度は傷病手当金くらいしかありません。
また、傷病手当金も実際に利用できるかどうかは会社の就業規則にもよります。
そもそも傷病手当金とは、病気やけがを理由に会社を休み、事業主(会社)から十分な報酬が受けられない場合に支給されるものです。そのため、休職制度が利用できることが必要になります。休職制度は新卒1年未満でも利用できる会社とそうでない会社があります。仮に休職制度を利用できない場合、傷病手当金制度も利用できないため、休職制度を利用できるか、傷病手当金制度が利用できるかを必ず会社に確認しましょう。
また、傷病手当金は月給の3分の2程度支給されます。実際の給付金額の計算方法や申請方法等については別記事にて説明しているので、そちらも参考にしてみてください。
➡新卒休職者必見!傷病手当金の申請方法
まとめ
新卒1年未満でも利用できる可能性がある制度は「傷病手当金」!
社会保険にはいろいろな種類・制度があり、勤続年数次第で利用できる数が異なります。特に新卒1年未満で利用できる制度はほとんどありませんが、1つ利用できるだけでもその後の生活に大きく影響してくると思います。自分の会社では利用できるかどうかは必ず確認してください。
また、新卒2~3年になると、失業手当など利用できる制度が増えます。その場合、自分が何年勤めているのか、勤続年数に応じてしっかりと制度を利用していきましょう!
参考文献
滝澤ななみ2024『2024-2025年版 みんなが欲しかった!FPの教科書3級』、TAC株式会社
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